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2012年1月10日火曜日

米は作っても儲からない!?

最近のどを痛めてたのですがだんだん戻ってきました。
声が出ないって怖いですね。



前回は米の消費量が減少しているということに触れましたが今回は米の「価格」についてみてみたいと思います。

その前に、米の流通について軽く触れてみましょう。
以下がその模式図です。


農家が作ったお米は玄米のままJA等の集出荷業者に運ばれます。
そのあと、卸売業者に売り渡され、精米されます。
その後、スーパー等の小売業者に行き、消費者のもとに届くという流れです。

もちろん、生産者が直接売ったり、JAが小売業者に売ったりなどのケースはありますが、大まかな流れは上の通りです。

そこで、各段階においてお米の価格がどうなっているか次の表を見て下さい。


これは、2007年度産のお米を参考にして算出された表です。
平均値ですが、①の消費者の購入価格は3,250円/10kgとなっています。
5kgにすると1,625円となります。

※米は1俵(60kg)で計算するので表の値になっています。

ここから割り出した、生産者の販売価格(集出荷業者に対して)は12,662円/60kgとなっています。
問題なのが、⑥米の生産費で、これが16,751円/60kgとなっています。

そうです、利潤はマイナスとなるのです。

これには少し解説が必要で、米の生産費の中にはきちんと農家の労働費(給料)も計算されています。
しかし、大抵の場合は労働費が細かく計算されていません。

また、あくまでも平均値であって大規模(大体20ha以上)作っている場合などはもっと生産費が下がります。
これは、専業農家と兼業農家を一緒にして計算しているためですね。

よって兼業農家の場合、農業所得はマイナスでも本業の所得でカバーできる場合があります。
日本は土地に対して思い入れが強いため、先祖代々守ってきた土地は簡単に手放せないということですね。



ですが、米の価格は低いです。
だから補助金が出されるんですね。

2012年1月5日木曜日

日本の米の生産量と1人当たり消費量の年間推移

明けましておめでとうございます。

長らくブログを休んでいました。
Facebookがかなり便利になったのとちょっと忙しくなったので・・・という言い訳をしておきます(笑)

今日からリスタートします!!
いろいろ考えて、これからしばらく「コメ」をテーマに情報発信していこうかなと思います。
まぁ、就農に向けて勉強していることを書くだけですが。

今日は日本の「コメ」についてその概要を書きます!!

まず、下のグラフを見て下さい。



これは、日本の『米の生産量』と『1人当たり消費量』の年間推移(1960年~2009年)をグラフにしたものです。
左の縦軸の値が米の生産量(万トン)、右の縦軸の値が米の1人当たり消費量(kg)に対応しています。

まず、米の生産量について

1967年の1445万トンをピークにだんだんと減少し、2009年には847万トンとなっています。
この現象は、日本の米政策と深く結びついています。
戦後、食糧難となった日本は米の増産を掲げ、政府がすべての米を買い上げる食糧管理制度のもとで1960年代には需要を上回る米生産を実現しました。
しかし、政府の財政負担の増加や食生活の変化による米消費の減少から1971年度から生産調整(減反)が始められることとなったのです。

他にも要因は在りますが、主な要因は、生産過剰ということです。

よくグラフを見ると、1993年にガクッと米の生産量が下がっている事が分かります。
これは、冷夏と長雨の影響で凶作となり、平年に比べて(作況指数)74%しか収穫できず、深刻な米不足となった年なのです。
この時、政府は260万トンの緊急輸入(中国から110万トン、タイから75万トン、アメリカから50万トン、オーストラリアから25万トン)を実施しました。

当時私は3歳だったわけですが(笑)、国内では外国産米と国産米の抱き合わせ販売が行われ、そのなかでタイ米だけが売り場に残されたり、捨てられたりしたみたいです。
(タイ料理好きの私にはもったいないと思う話ですが)

(特に東京)の消費者はスーパーや米屋に殺到したみたいですね。
直接販売している米農家も届けている消費者が親戚や友達にも届けたいということでかなりてんやわんやになったとか。

こういう話、3.11東日本大震災の時と似ているなぁと思いました。
震災直後、東京にいたわけですが、交通インフラの麻痺から食料が届かず、スーパーもコンビニも食料品が全くありませんでした。
米屋にも行列のできるくらい人が並んだという話も聞きました。
東京が何か異様な雰囲気で飲み込まれているような感じは今でも覚えていますし、少しゾッとします。

話がそれましたが、次に1人当たり消費量について

これも、1962年の118.3kg/年からだんだんと減少し、2009年には58.5kg/年となっています。
これを、1日の消費量にすると1962年が324.0gだったのに対し、2009年は160.3gとなっています。
茶碗一杯が約150gなので、現在は1日に茶碗一杯ちょっと食べている計算になります。
(※赤ちゃんから高齢者まで含めた日本の人口で割っているということを頭に置いておいてください)

いくつか要因が在りますが、

1、代替食料(パン、麺など)の増加

朝はパン、昼はラーメンかパスタ、夜はご飯といったところでしょうか。
一時期はパンを食べると頭が良くなるなどとも言われたそうです。

2、食の高度化(肉類などの消費増加)

米ばっかりじゃなくて肉も食べたいということですね。
マクドナルドの進出で幼少期からハンバーガーの味を下で覚えていることも挙げられます。

3、利便性

パンはパン屋で買ったり、乾麺などはすぐにゆでて出来上がりなど、出来上がるのに40~50分くらいかかる米は現代人の生活に合わなくなってきました。
特に一人暮らしだと、ついついカップラーメンなどに手が出やすいですよね。



このように、米の生産と消費の関係は緩やかながらも大きく変わってきています。


2011年8月2日火曜日

伊賀の里モクモク手づくりファーム

4年になってから、卒論の関係もあり、ずっと地域活性化にまつわる本を読んできたのですが、「これは!!」という本を見つけたので紹介します。


著者: 木村修、吉田修、青山浩子
タイトル: 「新しい農業の風はモクモクからやってくる

これは、伊賀の里モクモク手づくりファームという三重県伊賀市にある6次産業化の先駆者として知られている農業テーマパークの設立物語を書き下ろしたものです。

もともと、知っていたのですが、このような設立物語を読んだのは初めてでした。

というのも最近、堅い本ばっかり読んでて眠くなってしまうのでちょっと小説チックなものでも読もうかと(笑)

もともと経済連に勤めていた二人が仕事を辞めて養豚から地域を元気にするというストーリーです。

松坂牛として有名な産地であえて養豚を選び、ソーセージ作りから初めて独自のブランド化に至るまで、事細かく書かれています。

中でも印象に残ったのが、

…僕たちは今「モノ」を売るのではなく、「考え方」を売ることをテーマにしています。…

…お客様の視点には立つが、迎合はしない。伝いたいメッセージは伝えよういう姿勢を守っている。…

…安定を求めるスタッフが多い組織は伸びません。変革を恐れず、一度つくったものを壊す勇気も大事。…

…「お客様にとっていいことならまずやれ」と言われる。…やった後は怒られるんです。「なぜもっと早く言わなかったのか」と(笑)。…

日本の農村には素晴らしい人たちがたくさんいるものです。

自分ももっとがんばらなくてはと思いました。